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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻2号

1996年02月発行

文献概要

臨床報告

脈絡膜静脈血の後極部流出路

著者: 高橋京一1 村岡兼光1 須藤憲子1 池田史子1 小林秀雄1 山口由美子1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.161 - P.167

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 脈絡膜静脈は,各象限の赤道部にある4個の渦静脈に集まり,眼外に流出するとされている。しかし渦静脈が5個以上存在する事例や,後極部に渦静脈類似の血管が存在する事例が時に観察され,脈絡膜静脈の還流経路は変化に富んでいる可能性がある。正常ならびに各種疾患220眼を対象とし,走査レーザー検眼鏡に+30Dレンズを併用する広角赤外螢光造影およびパノラマ血管像を作製し,人眼脈絡膜流出路を検索した。
 その結果,渦静脈は4個ではなく,一眼あたり4〜10個,平均6.5個あった。渦静脈は大,小に区分され,大きな渦静脈は4個で赤道部にあったが,その他に小さな渦静脈や後極部の静脈流出路が発見された。後極部に静脈流出路がある事例は220眼中26眼あり,うち11眼では傍乳頭,5眼では黄斑近くの後極部,10眼では乳頭への流出路であった。後極部に静脈流出路があった例は,軽度の遠視から強度近視までさまざまであったが,-10D以上の強度近視が35%を占め,また両眼性が約60%であった。網膜剥離手術後の1眼で,赤道部の大きな渦静脈に縮小化がみられた。
 従来,脈絡膜静脈血の流出路は4個の渦静脈であるというのが定説であったが,渦静脈は4個ではないこと,ならびに従来考えられていたより高頻度に後極部に流出路があることが赤外螢光造影によって証明された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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