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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻3号

1996年03月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・113

黄色板

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.230 - P.231

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 黄色板xanthelasmaは眼瞼皮膚に生じる黄色扁平な軟らかい腫瘤(図1)で,しばしば両側の眼瞼に対称的に生じる。上下眼瞼の内眼角付近にみられることが多い。xanthelasmaはギリシャ語のxantho—(黄色)とelasma(飾り板)を語源にしたものである。本態性高脂血症 essential hyperlipidemiaや糖尿病などによる続発性高脂血症secondary hyperlipidemiaでは,皮膚に黄色腫xanthomaを発症しやすい。眼瞼に生じる黄色腫を特に黄色板と呼ぶ。
 黄色板は,病理組織学的には,黄色腫細胞xanthoma cellが真皮に浸潤貯留したものである(図2)。黄色腫細胞は脂肪を含有する組織球foamy histiocyteで,泡沫細胞foam cellとも呼ぶ。この泡沫細胞はマクロファージで,細胞内に脂肪を貪食したものである。ときには,脂肪を含む多核巨細胞やコレステロール結晶もみられることがある。凍結切片を作って脂肪染色を行うと,細胞内の空胞は脂肪を含んでいることがわかる。血管の周囲に集塊をなして存在するので(図3),組織球に含まれている脂肪は血管から血管周囲に遊離したものと考えられている。毛根の周囲に集塊を作ることもある(図4)。黄色腫細胞が真皮に貯留して時間が経過すると,その周りは線維性結合組織で取り囲まれ,組織球は分葉状の集塊を形成する。各分葉は単核もしくは多核の組織球からなる。病変は真皮に限局し,皮膚深部にまでは広がらない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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