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連載 眼の組織・病理アトラス・114
眼内髄(様)上皮腫
著者: 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2南カリフォルニア大学眼科学教室
ページ範囲:P.464 - P.465
文献購入ページに移動 眼内髄(様)上皮腫intraocular medulloepith—eliomaは二次眼胞secondary optic vesicleすなわち眼杯optic cupから生じる胎児性腫瘍である。腫瘍細胞は神経管原基の髄質上皮に相当する細胞medulloepitheliumからなる。眼内髄上皮腫は,毛様体上皮細胞(図1),網膜色素上皮細胞,グリア細胞,硝子体などの正常眼組織を構成する成分からなる純粋な髄上皮腫“pure”medulloepith—eliomaと,正常眼球には存在しない硝子軟骨(図2),脳(図3),横紋筋などを腫瘍内に含む奇形髄上皮腫teratoid medulloepitheliomaに分類される。いずれも良性と悪性がある。前眼部に発生するものが多く,腫瘍細胞が毛様体上皮類似の特徴をもち,網目状に配列する傾向がある。それで,ギリシャ語の網を意味するδικτνυにちなんだdiktyomaの別名もある。髄上皮腫が視神経乳頭付近から発生する場合があり,これは視茎opticstalkから出たものである。胎児型髄上皮腫em—bryonal medulloepitheliomaと,成人型髄上皮腫adult medulloepitheliomaに分けるものもあるが,この分類は,髄上皮腫という言葉そのものが胎児性を意味するのに,それを胎児型と成人型に分けている点で矛盾があり,適当でない。
眼内髄上皮腫は主として5歳前後の幼児の片眼に発生する。男女間や種族間で発生頻度に差はない。臨床症状としては,眼痛,視力低下および白色瞳孔である。前房出血の繰り返しや緑内障を起こして発見されることもある。多くの例は網膜芽細胞腫の診断で眼球が摘出され,術後の病理組織検査ではじめて本症と診断される。
眼内髄上皮腫は主として5歳前後の幼児の片眼に発生する。男女間や種族間で発生頻度に差はない。臨床症状としては,眼痛,視力低下および白色瞳孔である。前房出血の繰り返しや緑内障を起こして発見されることもある。多くの例は網膜芽細胞腫の診断で眼球が摘出され,術後の病理組織検査ではじめて本症と診断される。
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