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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻4号

1996年04月発行

文献概要

特集 第49回日本臨床眼科学会講演集(2) 学会原著

眼科受診を契機としHIV感染と診断されたサイトメガロウイルス網膜炎の1症例

著者: 大越貴志子1 遠藤紳一郎1 勅使河原剛1 草野良明1 佐久間敦之1 山口達夫1 神吉和男1 岡田定2

所属機関: 1聖路加国際病院眼科 2聖路加国際病院内科

ページ範囲:P.475 - P.479

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 眼科受診を契機とし,後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断された1例を経験した。症例は68歳男性で,視力低下を主訴に受診し,右眼の硝子体混濁と眼底に白色滲出斑,出血を認めた。入院後,発熱,カンジダ症,下痢が出現し,さらにCD4リンパ球減少が決めてとなりHIV検査を施行し,陽性と判定されるに至り,サイトメガロウイルス網膜炎と診断された。本症例は網膜症の発生を契機に,HIV感染が判明した本邦での初めての報告と思われた。本症例のように血友病もなく,かつ同性愛者でもなく高齢であっても,AIDSである可能性があるゆえ,今日原因不明の網膜炎をみた場合,年齢や背景を問わずに,AIDSを疑って検査を進めるべきと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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