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特集 第49回日本臨床眼科学会講演集(2) 学会原著
広範囲の毛様体皺襞部裂孔網膜剥離に対する2段階手術
著者: 渡部美博1 藤井孝1 飯島幸雄2
所属機関: 1成田赤十字病院眼科 2社会保険船橋中央病院眼科
ページ範囲:P.496 - P.500
文献購入ページに移動症例は両眼の裂孔原性網膜剥離にて当科を受診した15歳のアトピー性皮膚炎患者で,両眼にバックリング手術を施行,網膜裂孔は閉鎖されたが,両眼とも半周を越える広範囲の毛様体搬嚢部裂孔により網膜剥離が再発した。これに対し,まず両眼の強膜輪状締結術を施行,網膜下液の消失した1週間後にバックル上の毛様体扁平部と最周辺部の網膜を全周光凝固した。術後経過は良好で,両眼とも網膜は復位し,その後他院にて両眼のアトピー性白内障の手術を受けるも網膜剥離は現在のところ再発していない。
毛様体皺襞部裂孔が半周を越える広い範囲にあったり,その疑いがある場合には,眼球の全周にわたり鋸状縁の前後で網脈絡膜瘢痕を作るとともに永続するバックル効果を残す必要があると考えられる。この場合,2段階手術は全周にジアテルミーや冷凍凝固を行うのに比べ,手術侵襲も少なく安全な方法と考えられた。
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