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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻4号

1996年04月発行

文献概要

特集 第49回日本臨床眼科学会講演集(2) 学会原著

失明眼より対側眼への自己角膜移植を行った1症例

著者: 井上幸次1 根津永津1 蔡由喜1 趙容子1 切通洋2 大黒伸行3

所属機関: 1大手前病院 2市立伊丹病院 3八尾市立病院

ページ範囲:P.613 - P.617

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 失明眼より対側眼への自己角膜移植を行い,中央部の内皮の状態を20か月にわたって経時的に観察した症例を経験したので報告する。症例は36歳男性で,視神経網膜炎で失明した右眼より,角膜移植後拒絶反応にて水疸性角膜症となった左眼に自己角膜を移植し,右眼にドナー角膜を移植した。移植後,左眼の自己角膜移植片は透明性を維持していたが,右眼は2度にわたって拒絶反応を発症した。自己角膜移植眼では術後徐々に内皮細胞密度が減少し1年後に48.5%にまで低下したが,以後は減少傾向は停止した。ドナー角膜移植眼では最初の6か月間は,内皮細胞密度は減少しなかったが,拒絶反応を契機に急激に減少した。自己角膜移植眼での内皮数減少の一要素として,角膜中央部から周辺部への内皮細胞の移動が関与している可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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