文献詳細
特集 第49回日本臨床眼科学会講演集(2)
学会原著
文献概要
初期に鼻性視神経炎が疑われたが,組織学的に篩骨洞悪性リンパ腫と診断した25歳の男性の症例を経験した。篩骨蝶形骨洞炎の疑いのもとで,複視を主訴に当科を受診した。左視神経乳頭浮腫があり,鼻性視神経炎を疑い,抗生物質とステロイドの投与,さらに篩骨洞開放術を施行し,一時軽快した。その後,瞳孔異常,眼球運動障害,眼瞼下垂,眼球突出,顔面神経麻痺が出現した。再度内視鏡下篩骨洞生検により,悪性リンパ腫と診断した。化学療法および放射線療法を施行したが両眼視神経乳頭浮腫に至った。片眼の視神経乳頭炎に加えて多彩な脳神経症状がある症例には,副鼻腔の悪性リンパ腫も念頭におぐべ去である。
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