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臨床報告
5年間のHbA1c値の推移と糖尿病網膜症の発症率
著者: 湯口琢磨1 海谷忠良1
所属機関: 1聖隷浜松病院眼科
ページ範囲:P.717 - P.722
文献購入ページに移動 初診時,網膜症を認めない187例のインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者のHbA1c値を5年間測定し,網膜症の発症率をHbA1c値の推移パターン別に算出し,罹病期間,治療内容の影響について検討した。推移パターンは高値持続型,増加型,変動型,減少型,低値安定型に分類した。罹病期間の長さにかかわらず,高値持続型,増加型,変動型での発症率は,低値安定型と比較し有意に高く,特に罹病期間が長期のものほど,高値を示した。また,治療内容にかかわらず,高値持続型,増加型,変動型で高い発症率を示したが,インスリン群では,低値安定型でも高い発症率を示した。以上から,特に罹病期間が長くインスリン未使用治療のものほどHbA1c値を長期間低値に抑えることが,網膜症発症防止に重要であり,5年間のHbA1c値の推移パターン分類は,NIDDM患者の網膜症発症率の予測に有用であることが示唆された。
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