特集 第49回日本臨床眼科学会講演集(3)
学会原著
Color codedパターン刺激と視覚誘発電位,網膜電図
著者:
島田佳明1
村山耕一郎1
所属機関:
1千葉大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.879 - P.882
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対応する市松模様のコマが,その色を変えることなく,輝度のみを交換する特殊な刺激(color codedパターン刺激)を発生する刺激装置を開発し,視覚誘発電位(visually evoked cortical potential:VECP)と網膜電図(electroretinogram:ERG)を記録した。色覚の正常な対象において,赤と緑を用いるcolor codedパターン刺激が,黄色のみを用いる刺激では明瞭なVECPを抑制することを示す。用いる2色の組み合わせを変えると,隔たりの大きな色の組み合わせほど抑制効果は強くなる。ERGもVECP同様に赤と緑で抑制されている。これらの現象はパターンVECPや,パターンERGの成因について示唆を与える。色の見分けがつくことが,ある条件では反応の抑制を招く。この抑制は網膜で既に成立していると考えられる。網膜の反応が,視野が色で塗り分けられているか否かで影響されるということは,パターンERGが局所のon-off反応の単なる集積であっては説明できない。網膜はパターン視をしており,パターンEGRはその現れであるということを示している。