臨床眼科50巻6号

1996年06月発行

特集 第49回日本臨床眼科学会講演集（4） 学会原著

右同名半盲を生じた後期妊娠中毒症の1例

著者： 吉田聡美¹ 吉田宗徳² 柏井聡² 福山秀直³ 堀内正宏¹ 堀江克行⁴ 岡垣真理⁴

所属機関： ¹三菱京都病院眼科 ²京都大学医学部眼科学教室 ³京都大学医学部脳病態生理学教室 ⁴三菱京都病院産婦人科

ページ範囲：P.1183 - P.1186

　重度妊娠中毒症と右同名半盲が，35歳の妊娠32週の初産婦に発症した。妊娠34週に帝王切開で胎児を娩出し妊娠中毒症が治癒した後にも，閃輝性暗点を伴う片頭痛発作を繰り返し，右同名半盲が残った。再三にわたるCTとMRI検査では明らかな梗塞および出血巣などの異常はなかった。N-isopropyl—p—（¹²³I） iodoamphetamine （IMP）静注によるシングルフォトン断層法（SPECT）で左後頭葉領域の脳血流量の低下が発見された。