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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻6号

1996年06月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

脳動脈瘤手術後に網脈絡膜循環不全を伴った眼窩先端症候群を生じた2症例

著者: 草野良明1 大越貴志子1 山口達夫1

所属機関: 1聖路加国際病院眼科

ページ範囲:P.1283 - P.1287

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 脳動脈瘤手術後に著明な網脈絡膜循環不全を伴った眼窩先端症候群を呈し,失明に至った2症例を経験した。1例では,術後の脳血管造影にて海綿静脈洞血栓症の合併が確認された。いずれの症例も,手術中に眼窩外部からうけた圧迫による眼窩内圧の上昇が発症の原因と推察した。長時間の圧迫による眼窩内虚血が,眼窩内軟部組織の腫脹を招き,また眼窩内の血流うっ滞は2次的に海綿静脈洞血栓症等の眼窩draining veinの血栓形成をきたしうると思われる。その結果眼窩内圧はさらに上昇し眼窩先端部を通過する神経,動静脈群を絞扼し眼窩先端症候群と著明な網脈絡膜循環不全を呈したものと考えた。脳外科手術時の眼球保護の重要性を強調したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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