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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻7号

1996年07月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・117

交感性眼炎と水晶体起因性眼内炎

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1344 - P.1345

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 穿孔性眼外傷後に起こる交感性眼炎は,角膜輪部損傷によることが多い。この場合,穿孔創は水晶体に達し,水晶体起因性眼内炎を併発している可能性がある。多数例の病理組織学的検討によると,約30〜50%に両疾患の合併が認められている。穿孔性眼外傷で他眼に炎症が生じた場合,それが交感性眼炎であるか,水晶体起因性眼内炎であるか,あるいは両者の合併であるかを臨床的に正しく診断することは難しい。
 交感性眼炎と水晶体起因性眼内炎の合併例を病理組織学的に検査すると(図1),角膜輪部の穿孔によって水晶体嚢が破綻し,水晶体の周囲に多形核白血球,マクロファージ,類上皮細胞または多核巨細胞が浸潤して,水晶体を中心とした肉芽腫性炎症すなわち水晶体起因性眼内炎の特徴的な病像を示す(図2)。同時にぶどう膜には,リンパ球がび漫性に浸潤し,ぶどう膜のメラニン顆粒を貧食したマクロファージ,類上皮細胞,多核巨細胞がみられ,ぶどう膜の肉芽腫性炎症すなわち交感性眼炎としての特徴的な病像を示す(図3)。ときには,破嚢した水晶体の周囲や虹彩,さらに脈絡膜に夥しい数のエオジン好性多形核白血球(好酸球)の浸潤がみられることもある(図4)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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