文献詳細
特集 第49回日本臨床眼科学会
特別講演
文献概要
眼内レンズ(intraocular lens:IOL)挿入後の前嚢混濁を中心に水晶体上皮細胞(lens epithelialcell:LEC)の挙動を免疫組織化学酵素抗体法で観察すると,LECの偽化生とこれに伴う各種コラーゲン(II型以外),細胞骨格蛋白質(アクチンなど)を認めた。これらは嚢収縮因子の1つとも考えられる。IOL材質の特性を比較するため,細胞生物学的手法を用い,polymethyl methacrylate, soft acrylate光学部上でLECを培養し両者を比較したところ,α,γクリスタリンの存在に差のあることを認めた。また臨床上疑義のあるとされる多焦点IOLについて検討した。その適応は,理論的には若年者がよいが,若年者に多いアトピー白内障では,ときに硝子体基底部網膜裂孔などの併発もあり,その選択には留意が必要である。症例によりコンタクトレンズのmonovisionテクニックによる視力矯正も一定程度の成績を得た。
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