文献詳細
臨床報告
文献概要
眼窩に限局して発生したアミロイドーシスの1症例を報告した。症例は72歳の女性,左眼眼球突出を訴えて受診した。初診時,左眼眼球突出は著明であった。左眼窩に弾性硬,表面平滑な腫瘤を触れた。CTにより高密度,均一な腫瘍陰影中高密度の顆粒状陰影を伴った像が左眼窩内に描出された。また,MRI検査ではT1強調画像で外眼筋とほぼ等信号強度の均一の腫瘍が左眼窩内,外眼筋に描出された。病理組織学的所見はヘマトキシリン・エオジン染色でやや紫色に染まり,コンゴーレッド染色で無構造部が赤色から橙色に染った。電子顕微鏡にて毛細血管内皮細胞内,外にアミロイド細線維の集積を確認した。また,その細線維が内皮細胞内から外に出る像がみられ,アミロイド細線維は毛細血管から産生されると考えられた。全身検査,血液生化学的,免疫学的検査結果はすべて正常であった。血清アミロイドA蛋白も正常であった。以上の所見から,限局性眼窩アミロイドーシスと診断した。
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