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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻8号

1996年08月発行

連載 眼の組織・病理アトラス・118

エキシマレーザーによる角膜切除

著者: 久保田敏昭1 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1454 - P.1455

文献概要

 エキシマレーザーの眼科手術への応用は1983年にTrokelらによって始められ,おもに角膜疾患,屈折矯正手術に利用されている。フッ化アルゴンガスによる193nmの波長のエキシマレーザーは,6.4eV (電子ボルトelectron volt)のエネルギーを持ち,この値は分子間結合力の3.5eVを上回るので,分子レベルでの組織破壊が可能となる。隣接組織に熱凝固作用を及ぼさずに組織を切開,切除できる(図1)。細密でしかも正確な切開が要求される手術には極めて有用な機器で,切除縁は極めてシャープである(図2)。
 エキシマレーザーによる角膜手術はレーザーの反復照射で角膜を形成する。形成する方法には,照射光学系の円形の絞りの大きさを順次変えながら目的の形に仕上げていく方法と,スリット状の光をスキャンして目的の形を作り上げる方式がある。エキシマレーザーによる手術方法には,PTK(phototherapeutic keratectomy),PRK (photo—refractive keratectomy),PAK (photoastig—matic keratectomy),T-excision (T切開),Lasik (Laser in situ keratomileusis)がある。PTKは角膜を均一の厚さで切除する。PRKは,角膜表面が目的とする球面を持つように切除(ablation)する。PAKは乱膜を矯正する。T切開は細い溝状の切除によって,いわゆるT切開術と同じ効果をねらって角膜乱視を矯正する。Lasikはケラトームで角膜半層弁を作製後,角膜実質内にエキシマレーザーを照射する手術である。Lasikは従来のPRKに比較して,以下の利点をもつ。術後の疼痛が少ない。角膜実質の術後の混濁が少ない。術後のステロイドなどの点眼が不要である。ボーマン膜を温存できる。-2.00Dから-30.00Dの範囲の近視の矯正に用いられる。乱視や遠視にも応用できる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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