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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻8号

1996年08月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病網膜症への光凝固に続発する毛様体脈絡膜剥離

著者: 結城尚1 木村保孝1 南部真一1 丸山泰弘1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1527 - P.1534

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 汎網膜光凝固の適応であると判断された糖尿病網膜症14眼に対し,眼底の1象限に光凝固を実施する前,直後,3日後,7日後に,毛様体と前部脈絡膜の状態を超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicro—scope:UBM)を使って検索した。光凝固にはアルゴン緑または色素レーザーを用い,208から331個の凝固斑を置いた。光凝固前と直後には毛様体と前部脈絡膜に異常所見はなかった。光凝固の3日後の検索で,12眼86%に,毛様体扁平部とこれに隣接する前部脈絡膜に剥離があることが同定された。剥離の高さは強膜厚の15%から100%の範囲にあった。剥離の範囲は毛様体の全周にあり,光凝固を行った部位との相関はなかった。4眼で毛様体ひだ部下に剥離がおよび,この部が前内方に偏位していた。UBMの画像上で5眼に狭隅角化があった。光凝固7日後の検索では,剥離は消失していた。通常の臨床的検索では,これら剥離に関係する異常所見は観察されず,自覚的にも特に問題はなかった。以上の所見は,汎網膜光凝固を4回に分けて実施するとき,第1回目の1象限のみに光凝固を治療量で行ったとき,その3日後に一過性の毛様体脈絡膜の剥離が高頻度で発症したことを示している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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