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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻1号

1997年01月発行

文献概要

臨床報告

無色素性網膜色素変性を併発した多種スルファターゼ欠損症の1例

著者: 山口克宏1 高橋茂樹1 三橋善比古2 本間彰3 池田博行4 早坂清4

所属機関: 1山形大学医学部眼科学教室 2山形大学医学部皮膚科学教室 3山形県立総合療育訓練センター 4山形大学医学部小児科学教室

ページ範囲:P.20 - P.23

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 無色素性網膜色素変性を併発した多種スルファターゼ欠損症の1例を経験した。症例は4歳の男児で,眼瞼は軽度膨隆し,触診で柔らかく,濃い眉毛がみられた。振子様眼振があり,眼位は10プリズムの内方偏位がみられた。眼底検査では,両眼の黄斑は褐色で輪状反射および中心窩反射が不整であった。後極部網膜は灰白色であり,網膜細動脈に狭細がみられた。周辺部網膜は帯青灰色で,網膜深層に粗造な混濁が認められたが.骨小体様色素沈着はみられなかった。網膜電図は両眼とも消失型であり,本症例の眼底異常は無色素性網膜色素変性と考えられた。結膜生検組織の電子顕微鏡的観察では,結膜線維芽細胞に多数の封入体が認められた。これらの封入体内には,顆粒状あるいは膜様構造物がみられ,両者が混在している像もみられた。この所見は,眼底の異常とともに多種スルファターゼ欠損症に特異的であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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