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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻11号

1997年10月発行

文献概要

特集 オキュラーサーフェスToday Ⅰ 難治性角膜疾患と新しい治療法

感染性角膜潰瘍(1)—真菌性角膜潰瘍

著者: 内藤毅1

所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.25 - P.27

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1.概要
 オキュラーサーフェスに存在する微生物は,我々を取り巻く環境に大きく左右されることは言うまでもない。真菌に関しても当然のことであり,角膜真菌症の原因となる真菌の菌種も環境により変化しつつあることが予測される。井上1)は角膜真菌症の変遷に関して次の3期に分類している。第1期(田園型稀有疾患),第2期(都市型医原性疾患),第3期(都市型に新しい田園型の累加)の3期である。
 第1期は1950年以前であり,角膜真菌症は極めて稀な疾患であり,朽ち木による眼外傷が角膜真菌症の最大の誘因であった。
 第2期は1950年以後であり,ステロイド点眼薬の使用とともに急増し,ステロイド点眼薬による医原性のもので,ステロイド薬の使用が誘因となった日和見感染と考えられた。
 第3期は1970年以後で,Fusarium感染が突如として増加した。この原因として三井2)は農業の近代化に起因して1970年以降,地球規模で耕作土壌のFusarium汚染が進行し,空気中の菌量も莫大なものとなり,これが角膜感染の機会を誘発したのであろうと述べている。第2期のものは医原性であったから,医師がステロイド薬の使用に注意するようになってから頻度が漸減したが,第3期では急増したものがますます増加している。これは急速に進行する環境汚染が主な原因であるから増加にブレーキをかけることは困難であり,治療法の改善が最も重要で,当面の我々の急務であろうと述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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