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オキュラーサーフェスと私
ザルツマン角膜変性症と涙液膜
著者: 内田幸男1
所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.28 - P.28
文献購入ページに移動 ザルツマン(Salzmann)角膜変性症1)は角膜のmid-peripheryに好発する結節性の混濁であり,角膜炎の経過後に起こる。欧米では成書に記載され,これに関した論文も散見されるが,わが国では以前はほとんど話題にのぼらなかった。30余年前,私はサンフランシスコに留学中,タイゲソン教授から初めて実際の症例について教えてもらった。帰国後,注意してみると,1〜2個の病変をもった軽症例は結構あることがわかった。治療が必要なほどの例はまれだが,鑑別診断上から無視できない疾患と考えて,拙著『角膜疾患の臨床』(金原出版,1975)中の一項にあげた。
昭和59(1984)年に教科書的な症例を経験した。10数個の病変が鎖状に連なり,一部は瞳孔領に及んでいた(図)。角膜表層移植を行い,経過は現在も良好である。本例は中川を筆頭著者として連名で発表した2)。組織切片では結節部上皮の菲薄化,基底膜物質の増加と不均一,ボーマン膜の消失,実質膠原線維の増殖と走行の異常などが認められた。
昭和59(1984)年に教科書的な症例を経験した。10数個の病変が鎖状に連なり,一部は瞳孔領に及んでいた(図)。角膜表層移植を行い,経過は現在も良好である。本例は中川を筆頭著者として連名で発表した2)。組織切片では結節部上皮の菲薄化,基底膜物質の増加と不均一,ボーマン膜の消失,実質膠原線維の増殖と走行の異常などが認められた。
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