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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻11号

1997年10月発行

文献概要

特集 オキュラーサーフェスToday Ⅱ ドライアイとオキュラーサーフェス

ドライアイの病態と診断のすすめ方

著者: 山田昌和1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.64 - P.67

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1.定義と概念
 ドライアイという病名は眼科医の中だけでなく,広く人口に膾灸するようになったが,その定義というと曖昧な部分が残っている。ドライアイという概念を涙液減少症と捉えるか,乾性角結膜炎と捉えるかによって,定義や疾患概念が異なってくるからである。涙液減少症は「涙液に量的または質的な異常があり角結膜障害の有無を問わない」,乾性角結膜炎は「涙液の量的または質的な異常による角結膜上皮障害」という疾患概念である。この場合,涙液減少症は乾性角結膜炎を含み,潜在性(サブクリニカル)なものや間欠性のものをも包括した幅広い概念ということになる(図1)。潜在性あるいは間欠性という意味は,普段は無症状であるが,手術などの侵襲やVDT作業,コンタクトレンズ装用などの負荷が加わったときに症状が表に出てくるということである。個人的には,ドライアイ=涙液減少症とするのは範囲が広くなりすぎるきらいがあるので,疾患概念としてはドライアイ=乾性角結膜炎と考えておいたほうが良いと考えている。ただし,実際の日常診療では,その背景にある涙液減少症という概念を考慮に入れてドライアイの診断にあたる必要があると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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