文献詳細
文献概要
特集 オキュラーサーフェスToday Ⅴ トピックス—基礎と臨床 粘膜免疫
粘膜のMALToma
著者: 鈴木純一1 佐藤昌明2
所属機関: 1札幌医科大学医学部眼科学教室 2札幌医科大学附属病院病理部
ページ範囲:P.186 - P.189
文献購入ページに移動結膜はocular surfaceとして角膜とともに外的環境に直接接していて,たえず多様な抗原刺激に曝露されている。このほか,消化管粘膜,気管支(気道)粘膜,皮膚,分泌腺なども外界から多種多様な抗原,たとえば微生物・食餌性タンパク・化学物質などに曝露されている。これらの組織の上皮細胞下にはリンパ球や形質細胞が散在性に分布している。代表的な例では小腸のバイエル板,気管支粘膜下のリンパ装置や扁桃であり,これらは一定の抗原などの刺激によりリンパ球の集合体から胚中心の形成をみるようになり,リンパ節の皮質に相当する役割を果たす。これらの組織はリンパ節のような被膜や輸入リンパ管を持たないが,高内皮細静脈(postcapillary high-endothelialvenule)と呼ばれる血管系が存在している。さらに上皮下の粘膜固有層には形質細胞が存在して抗体産生にはたらき,この部位がリンパ節の髄質に相当すると考えられている。こうした組織は局所に侵入した抗原刺激に反応して生体防御機構の第一線を形成し,主にIgAによる液性免疫を司っている。
粘膜関連リンパ組織(mucosa-associatedlymphoid tissue:MALT)は,消化管,甲状腺,肺・気管支,唾液腺,結膜などの主に局所免疫を担当する粘膜関連組織のリンパ装置,節外性リンパ組織の総称で,消化管ではパイエル板・虫唾などのGALT (gut-associated lymphoid tissue),肺・気管支ではBALT(bronchus-associatedlymphoid tissue)と呼ばれ,結膜ではCALT(conjunctiva-associated lymphoid tissue)と呼ばれている。
掲載誌情報