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特集 オキュラーサーフェスToday Ⅴ トピックス—基礎と臨床 神経生理学
角膜の神経調節機構
著者: 佐々木かおる1
所属機関: 1市立豊中病院眼科
ページ範囲:P.226 - P.228
文献購入ページに移動 我々の身体の組織は,いたるところで神経による調節を受けている。角膜も,そのような組織のひとつである。角膜に分布する神経としては,知覚神経である三叉神経がよく知られている。しかし,交感神経,副交感神経支配については,直接的な証明がされておらず,いまだ統一の見解を得ていないのが現状である。そこで,本章では三叉神経に絞って話を進めることにする。
この三叉神経が障害を受けた場合に生じる神経麻痺性角膜炎については,これまでに多くの研究が行われており,神経を切断すると,角膜上皮創傷治癒の遅延,上皮細胞間の接着減弱,フルオレセイン透過性亢進などが認められることが報告されている。このような事実から三叉神経は,角膜において単に痛み刺激を伝達するという知覚伝達以外の働きを行っているのではないかと推測がなされてきた。現に,三叉神経の神経伝達物質であるサブスタンスP,CGRPは中枢への流れのみではなく,末梢側すなわち角膜において神経終末から放出されることが確認されており,上記の仮説の裏付けとなっている。
この三叉神経が障害を受けた場合に生じる神経麻痺性角膜炎については,これまでに多くの研究が行われており,神経を切断すると,角膜上皮創傷治癒の遅延,上皮細胞間の接着減弱,フルオレセイン透過性亢進などが認められることが報告されている。このような事実から三叉神経は,角膜において単に痛み刺激を伝達するという知覚伝達以外の働きを行っているのではないかと推測がなされてきた。現に,三叉神経の神経伝達物質であるサブスタンスP,CGRPは中枢への流れのみではなく,末梢側すなわち角膜において神経終末から放出されることが確認されており,上記の仮説の裏付けとなっている。
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