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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻12号

1997年11月発行

連載 眼の組織・病理アトラス・133

眼窩毛細血管性血管腫

著者: 坂本泰二1 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1772 - P.1773

文献概要

 毛細血管性血管腫(rapillary hemangiomaは小児良性血管内皮腫benign hemangio-endothelioma ofinfancyとも呼ばれる。眼窩部に高頻度に発生する腫瘍のひとつで,過誤腫hamartomaの一種である。通常,表面が平滑で明るい赤色の腫瘤が皮膚から盛り上がる(図1,2)。表面の外見がいちごに似ているので,いちご状母斑strawberry nevusともいわれる。しかし,皮膚深部に発生した場合は,外見からは病変がわからないことがある(図3)。生下時から存在するが,出生後約2週間で明らかになり,半年以内に急激に大きくなることが多い。毛細血管性血管腫の患児のうち,30%は3歳までに,75〜90%は7歳までに自然消退する。これはこの疾患の大きな特徴である。
 病理組織学的には,疎性線維性結合組織で境界された多数の毛細血管様構造の集合体が観察され,血管内皮細胞由来の腫瘍細胞であることを示す(図4,5)。腫瘍細胞が皮膚深部の筋肉に浸潤する像や細胞分裂像が散見されるが,悪性ではない。患児の成長にしたがって間質の線維化が進み,腫瘍細胞による血管様腔が閉塞して,腫瘍は消退する。腫瘍が退縮した部位は脂肪組織に置き換わる。それを血管脂肪腫angiolipomaと呼ぶ。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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