icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻12号

1997年11月発行

臨床報告 カラー臨床報告

黄斑円孔の手術前後視機能の多局所網膜電図による評価

著者: 司英杰1 青柳康二1 岸章治1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1775 - P.1782

文献概要

 多局所網膜電図を用いて,硝子体手術で閉鎖した黄斑円孔の網膜の応答密度を,術前と術後(32眼),または術後のみ(20眼)に検索した。術前の平均応答密度は,領域1で3.3±2.7nV/deg2,領域2で3.7±2.6nV/deg2であり,正常値のそれぞれ5〜20%と10〜30%に低下していた。三次元表示では,ピークが噴火口状に陥没していた。術後(平均26か月)には,領域1は正常値の20〜50%に,領域2は30〜70%に応答密度が回復した。応答密度は経時的に回復し,術後1〜2年で60%になった。術中の円孔底の色素上皮掻爬は,応答密度に悪影響しなかった。多局所網膜電図は,黄斑円孔が円孔だけでなく周囲1.6乳頭径の応答密度の低下を伴う疾患であることを示した。円孔が閉鎖すると,中心窩とその周囲の応答密度がともに回復した。これは,円孔閉鎖による視細胞の求心性の引き寄せと,ヘンレ線維層の復位によると解釈される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら