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多局所網膜電図を用いて,硝子体手術で閉鎖した黄斑円孔の網膜の応答密度を,術前と術後(32眼),または術後のみ(20眼)に検索した。術前の平均応答密度は,領域1で3.3±2.7nV/deg2,領域2で3.7±2.6nV/deg2であり,正常値のそれぞれ5〜20%と10〜30%に低下していた。三次元表示では,ピークが噴火口状に陥没していた。術後(平均26か月)には,領域1は正常値の20〜50%に,領域2は30〜70%に応答密度が回復した。応答密度は経時的に回復し,術後1〜2年で60%になった。術中の円孔底の色素上皮掻爬は,応答密度に悪影響しなかった。多局所網膜電図は,黄斑円孔が円孔だけでなく周囲1.6乳頭径の応答密度の低下を伴う疾患であることを示した。円孔が閉鎖すると,中心窩とその周囲の応答密度がともに回復した。これは,円孔閉鎖による視細胞の求心性の引き寄せと,ヘンレ線維層の復位によると解釈される。
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