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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻13号

1997年12月発行

文献概要

臨床報告

外転神経麻痺を初発症状とした慢性肥厚性脳硬膜炎の1例

著者: 橋本雅人1 大塚賢二1 中村靖1 曽根聡1 中川喬1

所属機関: 1札幌医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1893 - P.1896

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 左外転神経麻痺を初発症状とした慢性肥厚性脳硬膜炎の1例を経験した。症例は52歳の女性で,慢性進行性の水平性複視を主訴に受診。神経眼科的所見では左外転神経,三叉神経,舌下神経麻痺を呈した。MRI所見では左傍矢状断において,斜台後面に沿った限局性の硬膜の肥厚性病変がみられ,慢性肥厚性脳硬膜炎と診断した。また脳幹部MRI所見において,右外転神経は描出されているのに対し,左外転神経は神経根周囲の橋が肥厚性硬膜により圧迫されているために描出されなかった。治療は,副腎皮質ステロイドによるパルス療法によって神経症状は著明に改善した。本症での外転神経麻痺の原因は,画像所見より肥厚性硬膜の外転神経への直接圧迫の可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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