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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻3号

1997年03月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・125

ぶどう膜炎

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.240 - P.241

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 眼球には所属リンパ節が存在しない。眼内に炎症が起こった場合には,角膜縁結膜とぶどう膜が眼球の所属リンパ節のような働きをして,そこで反応性の細胞浸潤やリンパ球の増殖,抗体産生などが行われる。臨床的には,角膜縁結膜の細胞浸潤は角膜周囲結膜充血として認められ,ぶどう膜の細胞浸潤は前房混濁や硝子体混濁としてとらえられる。
 眼科臨床では,眼内の炎症をぶどう膜炎uveitisと呼ぶ。これはぶどう膜の炎症だけでなく,眼内組織の炎症を総括して習慣的にぶどう膜炎と呼んでいる。炎症の主座が眼内組織のどこにあっても,ぶどう膜には多少とも炎症細胞浸潤が起こり得るので,あながち間違った表現とはいえない。しかし,厳密には炎症の主座がぶどう膜にある場合のみが真のぶどう膜炎true uveitisである。炎症の主座がぶどう膜以外の眼組織,例えば網膜にあればこれは網膜炎と表現し,炎症の主座が水晶体にあれば水晶体炎と表現するほうがより的確である。この場合には,ぶどう膜にも反応性に炎症細胞浸潤が生じるので,これを病理学的には反応性ぶどう膜炎reactive uveitis,または反応性炎症細胞浸潤reactive inflammatory cell infiltrationと呼ぶことができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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