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文献概要
連載 眼の組織・病理アトラス・125
ぶどう膜炎
著者: 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.240 - P.241
文献購入ページに移動眼科臨床では,眼内の炎症をぶどう膜炎uveitisと呼ぶ。これはぶどう膜の炎症だけでなく,眼内組織の炎症を総括して習慣的にぶどう膜炎と呼んでいる。炎症の主座が眼内組織のどこにあっても,ぶどう膜には多少とも炎症細胞浸潤が起こり得るので,あながち間違った表現とはいえない。しかし,厳密には炎症の主座がぶどう膜にある場合のみが真のぶどう膜炎true uveitisである。炎症の主座がぶどう膜以外の眼組織,例えば網膜にあればこれは網膜炎と表現し,炎症の主座が水晶体にあれば水晶体炎と表現するほうがより的確である。この場合には,ぶどう膜にも反応性に炎症細胞浸潤が生じるので,これを病理学的には反応性ぶどう膜炎reactive uveitis,または反応性炎症細胞浸潤reactive inflammatory cell infiltrationと呼ぶことができる。
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