icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻3号

1997年03月発行

文献概要

特集 第50回日本臨床眼科学会講演集(1) 学会原著

虚血型網膜中心静脈閉塞症における血管新生緑内障の検討

著者: 尾崎志郎1 河口有紀1 鈴間潔1 山名隆幸1 高木均1 喜多美穂里1 本田孔士1

所属機関: 1京都大学大学院視覚病態学教室

ページ範囲:P.263 - P.266

文献購入ページに移動
(24D-10) 虚血型網膜中心静脈閉塞症(ischemic central retinal vein occlusion:ischemic-CRVO)における汎網膜光凝固(panretinal photocoaguratbn:PRP)の時期と血管新生緑内障(neovascular glaucoma:NVG)の発症について,28眼を背景疾患の有無に分け,retrospectiveに検討した。
 背景疾患のない場合,予防的PRPを施行した14眼のうち2眼(14%)に隅角・虹彩血管新生(angle/irisneovascularization:ANV/INV)が発生したが,ANV/INV確認後PRPを施行した2眼とともに,手術療法が必要なNVGに進展したものはなかった。背景疾患のある場合は,予防的PRPを施行した6眼のうち,3眼(50%)にANV/INV発生を認め,そのうち2眼(33%)がNVGに進展し,うち1眼は手術療法が必要であった。ANV/INV確認後PRPを施行した2眼では,手術療法が必要なNVGに進展したものはなかった。NVG発症後PRPを施行した4眼では,背景疾患の有無にかかわらず,全例で手術療法が必要であった。
 Ischemic-CRVOに対するPRPは,現時点では,症例数が少ないものの,少なくともANV/INV発生後の迅速なPRP施行によりNVGへの進行を予防しうると考えられたが,今後さらなる検討が必要であり,背景疾患の存在する場合には,より注意深い経過観察・治療が必要と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?