文献詳細
特集 第50回日本臨床眼科学会講演集(1)
学会原著
文献概要
(25A-5) 網膜細胞腫(retinoma)と考えられた4症例につき報告する。症例は男女2例ずつで,全例片眼性であった。網膜芽細胞腫の家族歴を有する者はなかった。初発年齢は1歳5か月から18歳までであった。初診時眼底所見では,4例とも石灰化を伴う半透明魚肉様の隆起性病変がみられ,周囲には網膜色素上皮の異常を伴っていた。4例のうち2例が経過観察中に悪性変化をきたした。1例は初診の4年後に腫瘍の増大と硝子体播種を呈した。もう1例は,初診の7か月後に病変に白色隆起がみられた。両者とも最終的に眼球摘出となり,いずれも病理学的に未分化な網膜芽細胞腫の像を呈した。Retinomaに対しては,直ちに治療を行う必要はないが,長期にわたる経過観察が重要である。
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