文献詳細
臨床報告
文献概要
大量の網膜下出血のため3か月以上の全網膜剥離を伴う光覚のない60歳女性の左眼に硝子体手術を行い,指数弁の視力を得ることができた。網膜下出血に伴う全網膜剥離でかつ光覚のない眼が手術により視力を回復した例は筆者の調べた限り報告されていないようである。
初診時,虹彩水晶体が前方へ押されて閉塞隅角緑内障を起こし,患者の左眼眼圧は点滴治療後も下降せず,網膜が水晶体の直後にまで追っていた。患者が痺痛を訴えたので強膜側から網膜下液の除去を試みた。脈絡膜剥離はなく,大量のタール状の黒い網膜下液が排除された(1回目手術)。眼圧はこの手術後,正常化したが,硝子体内は出血が充満していた。網膜は復位し視覚誘発電位と電気誘発電位が記録されたので硝子体手術(2回目)を行ったところ,幸い患者は指数弁まで視力が回復した。
全網膜剥離を伴う大量の網膜下出血では視磯能は回復しないと考えられている。しかし本症例では無光覚弁から指数弁までの視力回復が得られた。患者が骨髄性白血病に罹患していたため血液成分が変化し網膜機能の障害を減じていた可能性がある。
初診時,虹彩水晶体が前方へ押されて閉塞隅角緑内障を起こし,患者の左眼眼圧は点滴治療後も下降せず,網膜が水晶体の直後にまで追っていた。患者が痺痛を訴えたので強膜側から網膜下液の除去を試みた。脈絡膜剥離はなく,大量のタール状の黒い網膜下液が排除された(1回目手術)。眼圧はこの手術後,正常化したが,硝子体内は出血が充満していた。網膜は復位し視覚誘発電位と電気誘発電位が記録されたので硝子体手術(2回目)を行ったところ,幸い患者は指数弁まで視力が回復した。
全網膜剥離を伴う大量の網膜下出血では視磯能は回復しないと考えられている。しかし本症例では無光覚弁から指数弁までの視力回復が得られた。患者が骨髄性白血病に罹患していたため血液成分が変化し網膜機能の障害を減じていた可能性がある。
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