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臨床報告
網膜全剥離を伴う大量網膜下出血後の視力回復例
著者: 鈴木亮12 広瀬竜夫2
所属機関: 1山口大学医学部眼科学教室 2
ページ範囲:P.733 - P.737
文献購入ページに移動初診時,虹彩水晶体が前方へ押されて閉塞隅角緑内障を起こし,患者の左眼眼圧は点滴治療後も下降せず,網膜が水晶体の直後にまで追っていた。患者が痺痛を訴えたので強膜側から網膜下液の除去を試みた。脈絡膜剥離はなく,大量のタール状の黒い網膜下液が排除された(1回目手術)。眼圧はこの手術後,正常化したが,硝子体内は出血が充満していた。網膜は復位し視覚誘発電位と電気誘発電位が記録されたので硝子体手術(2回目)を行ったところ,幸い患者は指数弁まで視力が回復した。
全網膜剥離を伴う大量の網膜下出血では視磯能は回復しないと考えられている。しかし本症例では無光覚弁から指数弁までの視力回復が得られた。患者が骨髄性白血病に罹患していたため血液成分が変化し網膜機能の障害を減じていた可能性がある。
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