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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻4号

1997年04月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病網膜症の予後決定因子としての後部硝子体剥離

著者: 大谷倫裕1 飯田知弘1 岸章治1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.744 - P.748

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 糖尿病網膜症379例735眼につき,硝子体が網膜症の経過と治療に与える影響を検索した。平均経過観察期間は37か月である。初診時の硝子体は、完全硝子体剥離(posterior vitreous detachment:PVD)が9%,部分PVDが24%,PVD未発が67%であった。PVD群は全例が非増殖網膜症であり,網膜症の増殖化はなかった。汎網膜光凝固(panretinal photocoagulation:PRP)を54%に実施した。最終平均視力は0.4で,視力不良(0.1未満)の主因は,黄斑症(83%)であった。部分PVD群では,98%が初診時から増殖網膜症であり,86%にPRP,77%に硝子体手術を実施した。最終平均視力は0.08で,視力不良の主因は黄斑症が27%,牽引性網膜剥離が38%であった。PVD未発群では,60%が初診時から増殖網膜症であった。89%にPRP,29%に硝子体手術を実施した。経過中に非増殖網膜症の53%が増殖網膜症に移行した。最終平均視力は0.4で,視力不良の主因は,黄斑症が64%,牽引性網膜剥離が12%であった。
 糖尿病網膜症でPVDがあると,増殖化は起こらず,光凝固のみで対処できた。部分PVDでは,ほとんどが最初から増殖網膜症であり,PVD未発例では経過中に約半数が増殖化した。これらの群では光凝固に加え,硝子体手術が必要となった。PVDの有無は,網膜症の増殖化と治療,視力予後に大きな影響を与える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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