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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻5号

1997年05月発行

文献概要

特集 第50回日本臨床眼科学会講演集(3) 学会原著

糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術の長期予後

著者: 高木均1 鳥井康司1 山内知房1 清水恵美子2 桐生純一1 小椋祐一郎1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科視覚病態学教室 2洛和会音羽病院眼科

ページ範囲:P.977 - P.980

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(26B2-3) 糖尿病黄斑浮腫に対ずる硝子体手術の結果をretrospectiveに検討し,その有効性,手術適応について検討した。対象は,1989〜1995年の期間に,当科にて手術が施行された15例20眼で,経過観察期間は,6〜55か月,平均20.8か月であった。術前,検眼鏡的に後部硝子体剥離が無く,後部硝子体膜の肥厚を伴い,硝子体牽引の関与が強く示唆されることを手術適応とした。術前と術後,最終受診時視力を比較したところ,12眼(60%)で2段階以上の改善,6眼(30%)で不変,2眼(10%)で2段階以上の悪化が認められ,有意な改善を認めた(p<0.01)。平均視力は,術後2年後まで経過期間が長くなるほど上昇していた。悪化症例中1眼は1黄斑部への硬性白斑の集中した症例,他の1眼は,術後,網膜剥離や血管新生緑内障をきたした症例であった。糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術は,長期間経過しても有効であるが,硝子体手術に伴う重篤な合併症により,著明に視力低下をきたした症例もあり,より慎重な手術適応の検討が不可欠である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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