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連載 眼の組織・病理アトラス・128
虹彩母斑症候群
著者: 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1024 - P.1025
文献購入ページに移動 角膜内皮細胞の機能障害と虹彩の変性萎縮,それに伴う広範な周辺虹彩前癒着による難治性の緑内障を生じる疾患として,チャンドラー症候群Chandler's syndrome,進行性本態性虹彩萎縮症progressive essential iris atrophy,虹彩母斑症候群iris nevus syndromeがある。いずれも発症の原因は不明である。中年女性に好発し,通常片眼性,まれに両眼に発症する。チャンドラー症候群は,虹彩の軽度萎縮と瞳孔の変形と偏位,周辺虹彩前癒着,角膜内皮細胞の異常による浮腫性混濁を示す。進行性本態性虹彩萎縮症は,チャンドラー症候群より虹彩萎縮の程度が強く,虹彩が穿孔する。虹彩母斑症候群は,虹彩が母斑様の色素結節を伴って変性萎縮する(図1)。これらの疾患に共通した特徴は,隅角線維柱帯および虹彩表面を病的角膜内皮細胞が覆い,それに伴って虹彩の前癒着が起こり,難治性の緑内障を併発することである。また,病的角膜内皮細胞下には異常な基底板が形成される。上記3疾患は,その病態の類似性から,虹彩角膜内皮症候群iridocorneal endothelial(ICE)syndromeとして1つの疾患単位にまとめられている。
虹彩母斑症候群の病理学的特微として,小金井の塊細胞clump cell of Koganeiと変性したメラノサイトの集塊などが虹彩面上に母斑様結節を形成する(図2)。この病変は虹彩および線維柱帯の表面に病的角膜細胞が覆い,それに伴って異常基底板が形成される(図3)。また,病変部ではリンパ球の浸潤を伴う(図2,3)。
虹彩母斑症候群の病理学的特微として,小金井の塊細胞clump cell of Koganeiと変性したメラノサイトの集塊などが虹彩面上に母斑様結節を形成する(図2)。この病変は虹彩および線維柱帯の表面に病的角膜細胞が覆い,それに伴って異常基底板が形成される(図3)。また,病変部ではリンパ球の浸潤を伴う(図2,3)。
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