icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻6号

1997年06月発行

文献概要

臨床報告

Insulin-like growth factor-I投与後に増悪した糖尿病網膜症の1例

著者: 重藤真理子1 佐川卓司1 石橋達朗1 中島直樹2 梅田文夫2 名和田新2

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2九州大学医学部第3内科学教室

ページ範囲:P.1251 - P.1255

文献購入ページに移動
 A型インスリン受容体異常症に合併した増殖糖尿病網膜症について報告した。症例は19歳の女性で,先天的なインスリン受容体の異常のため,高インスリン血症とインスリン投与に抵抗する高血糖があった。インスリンと類似の血糖降下作用のあるInsurin-Like growth factor-I(IGF-I)の投与により,血糖値は低下した。IGF-Iの投与前には糖尿病網膜症はみられなかったが,投与開始後5か月に網膜出血が出現し,7か月目から眼底に新生血管が発生した。網膜光凝固を行ったが,増殖性変化が鎮静化しないため,IGF-Iの投与を中止した。中止後速やかに新生血管は消退傾向を示し,投与中止後3か月には認められなくなった。この症例において,IGF-Iが血糖値を降下させると同時に,網膜血管内皮細胞の増殖促進にも影響を及ぼしていたことが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?