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卵黄様黄斑ジストロフィ(Best病),偽前房蓄膿期
著者: 宇山昌延1
所属機関: 1関西医大
ページ範囲:P.1419 - P.1419
文献購入ページに移動 先天性黄斑ジストロフィの一型で,常染色体優性遺伝形式を示す。両眼性で,小児期に発病し,徐々に進行してさまざまの眼底所見を示すが,通常視力は良い。病変は黄斑部に限局している。初期には卵黄様の名が示すとおり,卵の目玉焼き様(egg yolk)の境界鮮明な円形の黄色斑が中心窩の網膜深層にみられる。やがて,それは崩れて,いり卵様(scrambled egg)になり,それが吸収されると,黄斑部に変性と瘢痕を残して,視力は低下する。卵黄様の病変は網膜色素上皮細胞内にリポフスチン顆粒を主とした異常物質の沈着による。経過の途中で,網膜色素上皮細胞から流出した物質が網膜下に溜まって,写真のように偽前房蓄膿pseudo-hypopyonと呼ばれる所見を示す時期がある。ERGは正常であるが,EOGが著しく低下しているのが診断に役立つ。この症例は16歳男子,視力0.9であった。
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