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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻8号

1997年08月発行

文献概要

臨床報告

放射線照射が著効した転移性虹彩腫瘍の1例

著者: 内田久子1 松尾俊彦1 松尾信彦1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1499 - P.1502

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 肺扁平上皮癌患者の虹彩にみられた転移性腫瘤に対して放射線照射を行った症例を経験した。症例は72歳女性で,左眼の流涙,充血を訴え,当科を紹介された。初診時,左眼6〜8時の虹彩面上に2個の灰白色の腫瘤がみられた。前房穿刺により扁平上皮癌細胞が確認された。眼底には異常所見をみなかった。虹彩腫瘤が徐々に増大してきたため,放射線療法(2Gy/日,週5回)を開始したところ1週間後に腫瘤は半分に縮小し,総量30Gyの照射でほぼ消失したが,脳転移とともに再発し,3か月後に死亡した。本症例を含めて1960年以降わが国で報告された39例の虹彩転移腫瘍の予後は悪く,患者の生活の質を考えた治療法が選択されるべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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