icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科51巻9号

1997年09月発行

文献概要

臨床報告

加齢黄斑変性での低線量放射線照射に対する新生血管板の早期反応

著者: 本庄恵1 万代道子1 廣芝直子1 宮本秀樹1 高橋政代1 小椋祐一郎1 笹井啓資2

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科視覚病態学講座 2京都大学医学部附属病院放射線科

ページ範囲:P.1563 - P.1569

文献購入ページに移動
 加齢黄斑変性に伴う脈絡膜新生血管32例32眼に対して放射線治療を行った。適応は1)治療前の半年間に悪化のみられた加齢性黄斑変性症で,2)脈絡膜新生血管が黄斑部にかかっており,3)視力が0.8未満のものとした。同じ条件を満たす無治療の脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性17例17眼を対照群とした。治療群は10Gy照射群が15例15眼,20Gy照射群が17例17眼であった。新生血管板は20Gy照射群では治療後6か月以内に13眼(76%)が,10Gy照射群では12か月以内に11眼(73%)が退縮傾向を示したのに対し,対照群では1年以内に自然退縮がみられたのは1眼(6%)であった。治療前と比較して視力の保持,改善がみられたものは,6か月の時点で治療群では10Gy照射群で10眼(66%),20Gy照射群で13眼(76%),対照群では8眼(47%)であった。放射線治療効果は10Gy,20Gyと線量依存性にみられ,対照群より有意に新生血管板,全病巣の大きさの縮小,視力の保持・改善において有効であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?