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黄斑浮腫の光学的干渉断層計所見
著者:
大谷倫裕1
丸山泰弘1
岸章治1
所属機関:
1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.27 - P.33
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黄斑浮腫の網膜断面構造を,光学的干渉断層計(Optical coherence tomography:OCT)で検索した。対象は黄斑浮腫がある56眼,44例(男子27例,女子17例)である。56眼の内訳は,糖尿病網膜症43眼,網膜静脈分枝閉塞症6眼,網膜中心静脈閉塞症3眼,ぶどう膜炎2眼,後部強膜炎1眼,粟粒血管腫症1眼である。OCTの所見から,黄斑浮腫は,網膜の膨化50眼,嚢胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema:CME)28眼,漿液性網膜剥離4眼の3つの型に分類された。これらの型は,しばしば同一眼で合併していた。網膜の膨化は主として網膜外層にあり,膨化が強いとスポンジ状になっていた。新鮮なCME例では網膜外層の嚢胞によって中心窩が突出し,網膜内層の層構造は比較的保たれていた。陳旧化したCMEでは,嚢胞が網膜の外層から内層を占めており,黄斑部は嚢胞によって空洞化していた。硬性白斑は高反射領域として写り,網膜の外層だけでなく,内層にもあった。CMEではない黄斑浮腫の中心窩の網膜厚と視力は,中等度の負の相関を示した。