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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻1号

1998年01月発行

文献概要

臨床報告

メチルアルコールガス中毒による急性球後視神経炎の症例

著者: 藤本正流1 宮島理乃1 田上伸子1 保倉透1 宇山昌延1 岩瀬正顕2 北澤康秀2 田中孝也2 吉田学3 赤根敦3 延原健二4

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室 2関西医科大学救命救急センター 3関西医科大学法医学教室 4関西医科大学精神神経科学教室

ページ範囲:P.51 - P.55

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 シンナーは種々の有機溶剤の混合剤である。今回,シンナー長期吸引歴のある23歳の男性が,1週間で急激に両眼視力を喪失した症例を経験した。患者は両眼の視力喪失で来院し,光覚弁なく,瞳孔は散大し,対光反射は消失していた。初診時,シンナー吸引歴がわからなかったので,急性球後視神経炎ないし詐病が疑われた。翌日,シンナー濫用者と判明し,吸引していたシンナーの内容分析により気化状態でメチルアルコールが約80%と高濃度に検出された。メチルアルコールガスの長期吸引による慢性中毒が急性増悪し,急性球後視神経炎を発病したと診断し,高圧酸素療法,ステロイド大量投与とビタミンB1,B12,投与を行った。7か月後,両眼に視神経乳頭の萎縮を残したが視力は右眼0.05(矯正不能),左眼0.04(矯正不能)まで回復した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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