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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻11号

1998年10月発行

文献概要

特集 眼科検査法を検証する Ⅰ.基本的な眼科検査法の検証

立体視検査法

著者: 矢ケ﨑悌司1

所属機関: 1眼科やがさき医院

ページ範囲:P.25 - P.29

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立体視の分類と処理機構
 両眼視機能は,左右眼の網膜上に別々に投影された視印象(retinal image)が視覚中枢において単一なものとして認知される機能である。立体視は両眼視機能のなかで最も高度なものであり,立体視の獲得は弱視,斜視治療の最終目標となる。立体視の視覚情報処理機構は単一なものではなく,2つのチャンネルが並列して関与している。1つは黄斑中心窩に多く分布するβ細胞から外側膝状体小細胞層(parvocellular laminae)を介して後頭葉皮質第一次視覚野に達する経路(P細胞系)であり,もう1つは黄斑周辺部のα細胞から外側膝状体大細胞層(magnocellular laminae)を介して視覚野に達する経路(M細胞系)である。P細胞系で処理される立体視は,両眼で眺めた注視点に対する映像の前後の位置のずれを基にして認知される三次元視覚である静的立体視(static stereopsis)であり,M細胞系で処理される立体視は,注視点の前後方向に動く三次元運動を認知する動的立体視(motion stereopsis)である。
 静的立体視の理論的正常値は,中心窩の大きさから60秒未満と考えられ,中心立体視と呼ばれる。それより大きな立体視は周辺立体視と呼ばれ,黄斑部の大きさより61秒から200秒以下の立体視とそれ以上の大きな値の立体視とに細分される。大まかな立体視(gross stereopsis)はM細胞系で処理される視覚情報で,動的立体視と密接に関連しており,中心立体視を示さない斜視症例においても大まかな立体視を示す症例では動的立体視も認められることが指摘されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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