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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻11号

1998年10月発行

文献概要

特集 眼科検査法を検証する Ⅳ.ぶどう膜疾患

ヒトリンパ球抗原HLA

著者: 上甲覚1 沼賀二郎1

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.139 - P.142

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検査の目的
 ヒトの主要組織適合抗原であるhuman leuko-cyte antigens(HLA)は,きわめて遺伝的多型性に富んでおり,免疫応答の根幹を担い,臓器移植・骨髄移植などでの組織適合性に深く関係し,また個人の疾患感受性・抵抗性に重要な役割を果たしている。HLAの遺伝子は第6染色体の短腕上にあり,クラスIとクラスII抗原系に分かれて存在し,クラスIは主にA,B,C,クラスIIはDR,DQ,DPの多重遺伝子で構成され,それぞれの対立遺伝子は多型性を示す。HLAクラスI抗原の構造は,分子量44kDaのH鎖と12kDaのβ2ミクログロブリンが非共有結合した細胞膜抗原である。赤血球,精子を除くほとんど全ての行核細胞上に発現している。HLAクラスII抗原の構造は,分子量33〜35kDaのα鎖と27〜29kDaβ鎖が非共有結合した細胞膜抗原である。B細胞,活性化T細胞,胸腺上皮細胞,ランゲルハンス細胞などの限られた細胞に発現している。
 免疫応答において,T細胞レセプターは,B細胞レセプターと異なり,一般的に遊離の抗原を単独で認識できず,HLA分子と抗原ペプチドが結合した複合体を認識する。近年,特定のHLA分子に結合する抗原ペプチドの構造上の規則性が解明され,特定のHLA分子・抗原ペプチド複合体とT細胞レセプターの相互作用によるT細胞の活性化に関する研究が,自己免疫疾患などで報告されており,治療への応用の研究も急速な進展をみせている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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