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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻11号

1998年10月発行

文献概要

眼科検査法についての私の考え

マッケイマーク眼圧計

著者: 布田龍佑1

所属機関: 1NTT九州病院眼科

ページ範囲:P.220 - P.220

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 私が眼科医になりたての頃,眼圧計はまだシェッツ眼圧計の全盛期であった。測定前には眼圧計の可動桿をはずして清掃し,再び組み立てて零点合わせをするといった手のかかる準備が必要だった。さらに仰臥位でしか測定できないため,ベッドにやすんでもらう必要もあり,今から考えると眼圧測定は結構手間がかかる作業であった。もちろん当時すでにゴールドマン圧平眼圧計はあったが,これはいつも細隙灯顕微鏡の引き出しにしまいこまれており,めったに使用することはなかった。入院患者さんの検査の時のみが唯一の使用機会であった。入院時検査では「緑内障チャート」を埋める義務があり,このチャートには視野,眼圧日内変動測定,隅角などと並んで,圧平眼圧値という項目があった。慣れない器械であるゴールドマン圧平眼圧計で測るため,眼圧測定後には角膜には大きな上皮欠損が生じ,しばしば眼痛のクレームがついた。眼圧測定の主流が圧人式から圧平式へと変わっていったのはいつの頃だったろうか。
 当時,ゴールドマン圧平眼圧計を使用する機会は少なかったが,同じ圧平式であるマッケイマーク眼圧計は,とくに小児の眼圧測定に頻用されていた。新人局の私はマッケイマーク眼圧測定係に指名され,その扱いに1昨労した。その頃同年配の先天緑内障の子供たちが4〜5名おり,彼らが受診するたびにお母さんの手を煩わせて,長時間かかって眼圧を測定した。それから20年以上経ち,子供たちもとっくに成人式を迎え,巣立っていった。そのうちの1人,F君の結婚式に先日招待された。F君夫婦の満面の笑顔とお母さんの涙をみたとき,マッケイマーク眼圧計を使用していた当時のことが,鮮明に思い出された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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