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視神経乳頭低形成に伴う傍乳頭網膜分離症
著者: 宇都木憲子1 村岡兼光1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1781 - P.1787
文献購入ページに移動 視神経乳頭の低形成に伴う乳頭周囲網膜分離症の4例5眼を報告する。共通する所見は,視神経乳頭が小さく,発赤し,低形成があること,乳頭部を含む扁平な網膜分離であること,病変部では神経線維の走行が顕著であること,黄斑に嚢胞形成があることである。全例の両眼に乳頭の低形成があり,乳頭小窩はなかった。網膜分離の範囲は,黄斑部に限らず,周辺に達するものがあった。視力は0.1から1.2であった。網膜分離に相当して軽度の視野沈下があった。光学的干渉断層計(OCT)で網膜の断層像を観察した2眼では,網膜は複数の層に分離し,厚みの増した網膜内に漿液が貯留して蜂巣状を呈した。このOCT所見は,網膜浮腫や網膜剥離のそれとは異なっていた。4眼では経過中に病状は進行せず,1眼で黄斑部嚢胞が拡大して、視力が0.1から0.02に低下した。これら5眼は同一病態と考えられ,今まで報告がないことから,新しい疾患単位であると結論される。
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