文献詳細
文献概要
連載 眼の組織・病理アトラス・146
ボーマン膜
著者: 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1878 - P.1879
文献購入ページに移動 ボーマン膜Bowlnan's membraneは角膜上皮細胞層と実質との間にあり,その厚さが8〜14μmの光学顕微鏡で淡明にみえる部位をいう(図1)。Bowmanは1847年にこれを“anterior elastic lamina”of the corneaとして最初に記載した。それにちなんで,ボーマン膜Bowman's membraneと呼ぶ。しかし,電子顕微鏡で観察すると,この層は角膜上皮細胞の基底膜(基底板basal lamina)から角膜実質までの淡明層の中に不規則に配列する微細な線維をもつ構造であることが明らかになった。したがって,これは真の膜ではないので,最近ではボーマン層Bowman's layerと呼ぶ傾向にある。
ボーマン膜は角膜縁までで終わり,強膜ではみられない。また,ヒトを含めて霊長類にみられるが,他の哺乳動物にはみられない。ボーマン膜は角質実質のコラーゲンより細い直径約20〜30nmの,主としてVII型コラーゲンの微細線維と基質からなっている(図2)。線維はほぼ直線状で,その配列はまったく不規則である。細胞成分は存在しないが,角質実質から上皮層へ伸びる角膜神経がボーマン膜を貫いている。
ボーマン膜は角膜縁までで終わり,強膜ではみられない。また,ヒトを含めて霊長類にみられるが,他の哺乳動物にはみられない。ボーマン膜は角質実質のコラーゲンより細い直径約20〜30nmの,主としてVII型コラーゲンの微細線維と基質からなっている(図2)。線維はほぼ直線状で,その配列はまったく不規則である。細胞成分は存在しないが,角質実質から上皮層へ伸びる角膜神経がボーマン膜を貫いている。
掲載誌情報