文献詳細
臨床報告
文献概要
重症の角膜化学傷に対し輪部移植術を行った17眼について,手術予後と術前の涙液機能,年齢,罹病期間,術式との関連を調べた。最終観察時に17眼中11眼(65%)で角膜の透明治癒が得られ,うち5眼が1回の手術で終了した。1回の手術で透明治癒が得られた症例は,涙液クリアランス,tearfunction index (TFl)が有意に高値であった(p<0.05)。術後遷延性角膜上皮欠損を生じた症例は,TFIが有意に低値であった(p<0.01)。自己輪部移植術を行った症例は,ドナー角膜から輪部移植術を行った症例より予後が良好であった(p<0.05)。年齢,罹病期間と,予後との間に関連はなかった。輪部移植術の術式,術前の涙液検査は予後を推測するうえで重要と思われた。
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