臨床眼科52巻2号

1998年02月発行

臨床報告

外側膝状体半盲を呈した脳内Wegener肉芽腫の1例

著者： 前田忠郎¹ 大塚賢二¹ 橋本雅人¹ 中村靖¹

所属機関： ¹札幌医科大学医学部眼科学教室

ページ範囲：P.173 - P.176

　2か月前に外耳道炎が発症し，続いて半月体性糸球体腎炎が起こり，血中の抗好中球細胞質抗体値が上昇してWegener肉芽腫症と診断された43歳女性が視野障害を主訴として受診した。両眼に右側楔型の同名半盲があり，MRI検査で左側の外側膝状体外側音部に境界明瞭な円形の腫瘍が発見された。ステロイドのパルス療法で脳内病変は著しく縮小した。本症での外側膝状体半盲の原因病変は，脳内に生じた孤発性のWegener肉芽腫と推定された。