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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻3号

1998年03月発行

文献概要

特集 第51回日本臨床眼科学会講演集(1) 学会原著

自己血清に水晶体上皮細胞障害作用がみられたアトピー白内障の2例

著者: 綾木雅彦1 馬嶋慶直3 馬嶋清如3 高坂昌志3 東範行4

所属機関: 1亀田総合病院眼科 2ハーバード大学眼科 3藤田保健衛生大学医学部眼科学教室 4国立小児病院眼科

ページ範囲:P.267 - P.270

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(19-レセ2-1) アトピー白内障が両眼にある19歳と26歳の患者から採取した血清の水晶体上皮障害効果を検索した。血清を培養液で20倍に希釈してマウス水晶体上皮と3時間培養した後,トリパンブルーで染色した。死滅した上皮細胞の割合は,それぞれ22%と36%であり,33歳の正常者では7%であった。障害因子は大部分が分子量100kDa以上の分画に含まれ,水晶体上皮細胞のホモジネートで中和することで著明に減弱した。血清ヒスタミン濃度は2症例とも高値であった。以上から,ヒスタミンや眼球への鈍的外傷によって血液房水柵が破綻し,抗水晶体上皮細胞自己抗体が前房に侵入して水晶体上皮細胞が障害されたことが白内障の原因である可能性が高いと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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