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臨床報告
文献概要
片側の後頭葉に梗塞または出血のある31歳と59歳の男性と,片側の後頭側頭葉に梗塞のある55歳男性の,モーションディスクリミネーションタスク(MDT)を検索した。目的は,MDTが,第一次視覚野を介して視運動覚の中枢であるmiddle temporal area (MT野)に至る経路と,上丘から第一次視覚野を介さずにMT野に至る経路のどちらをよく反映するかを知ることにある。3症例とも半盲があり,視力と色覚は正常であった。MDTにはランダムドットパターンを用いた。一次視覚野近傍(後頭葉)の障害者ではMDTは正常であり,MT野近傍(後頭側頭葉)の障害者ではMDTの正答率が著しく低かった。この所見は,MDTが外側膝状体と第一次視覚野を経由せずに,視神経から上丘を経由してMT野に至る経路について主に評価していると解釈された。
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