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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻4号

1998年04月発行

文献概要

特集 第51回日本臨床眼科学会講演集(2) 学会原著

加齢黄斑変性症に対する放射線治療

著者: 高木史子1 森秀夫1 芥田敬三2 吉村長久3

所属機関: 1大津赤十字病院眼科 2大津赤十字病院放射線科 3信州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.488 - P.492

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(18D-15) 加齢黄斑変性症8例8眼に対して放射線照射を行い,その治療効果を検討した。照射方法はCTscan simulation後,眼球後極部に4MV X線にて,2週間にわたり,1回2Gyずつ10回の計20Gyの照射を行った。照射6か月後,新生血管と病巣の大きさは全例で不変か縮小し,拡大した例はなかった。最終観察時には,1眼(12.5%)では変化がなく,いったんは病巣の縮小した7眼(87.5%)のうち2眼(25%)で病巣の瘢痕化が進んだが,5眼(62.5%)で眼底所見が増悪した。治療後最良視力は,改善2眼(25%),不変5眼(62.5%),悪化1眼(12.5%)であり,最終視力は,改善,不変がともに2眼(25%)で,悪化が4眼(50%)であった。現在のところ,放射線によると思われるような副作用はない。加齢黄斑変性症に対する放射線照射は,病巣の瘢痕化を促進し,有効な治療法であると結論される。しかし放射線照射後,病巣がいったんは縮小しても経過中再び増悪する症例が多く,適応や照射方法などについての検討が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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