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特集 第51回日本臨床眼科学会講演集(2) 学会原著
一企業における裂孔原性網膜剥離,網膜裂孔の発生率
著者: 大越貴志子1 山口達夫1
所属機関: 1聖路加国際病院眼科
ページ範囲:P.521 - P.525
文献購入ページに移動(17-P1-4) 某都市銀行職員19,912名に対しアンケートまたはカルテによる調査を行い,網膜剥離,網膜裂孔の既往の有無を調査した。網膜剥離,裂孔の既往のあったものはそれぞれ25名,23名であった。1993年度の職員の網膜剥離の発生率は人口10万人対25人,網膜裂孔の発見率は35人であった。網膜剥離の発生率の高かった理由は,母集団において剥離の好発年齢層が多かったことのほか,地域性,高学歴などの母集団の特徴が考えられた。網膜剥離の予後は93%が治癒したと答えており,おおむね良好であった。しかし治療結果に不満な例も多く,また何らかの日常生活上の制限を余儀なくされた症例が43%と高かった。就業年齢層の人々にとって,網膜剥離は発生頻度も比較的高く,社会的,精神的負担は決して無視できないものと考えられた。
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