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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科52巻5号

1998年05月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・139

結膜の後天メラノーシス

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.716 - P.717

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 結膜の色素性病変は,先天性のもの,後天性のものがあるが,常に悪性化が危惧される重要な疾患である。先天性のものは母斑であり,後天性のものはメラノーシスである。母斑は青少年期から起こり,黒色の腫瘤を形成する。稀に悪性化することもある。後天メラノーシスacquired melanosisは中年以降に起こる。結膜の表面に黄粉をふり播いたようなまだらな色素沈着である(図1)。結膜の悪性黒色腫malignant melanomaの約半数はもともと色素沈着がないところからde novoに発生し,残りの半数は後天メラノーシスから発生する(図2)。後天メラノーシスは病理組織学的には接合部母斑junctional nevusに類似し,異形のメラノサイトが上皮と上皮下組織の接合部に存在し,しばしば接合部活性junctional activityを示す。後天メラノーシスのメラノサイトの形状は,樹枝状で正常にみられるものと区別できないもの(Grade 1),樹枝状形態は保持しているが,核も胞体も正常より大きいもの(Grade 2),樹枝状の形態が失われて類上皮細胞の形態をとるもの(Grade 3)に分けられる。生検標本では,類上皮細胞の形態をもつメラノサイトが存在するか否かが,良性か悪性の有力な手掛かりになる。臨床的には,色素量の増加,色素病変部の隆起,炎症所見の出現は悪性の兆候として注意すべきである。
 Zimmermanは後天メラノーシスを良性後天メラノーシスbenign acquired melanosisと癌性後天メラノーシスcancerous acquired melanosisに分類している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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